3.11で全壊となった住宅を「低燃費住宅」へ建替え
真夏でも室内27℃湿度65%をキープ
数十年前に、高気密高断熱工法で、省エネの家を建てたOBの方からご紹介頂いたNさん。
Nさん宅は3.11東日本大震災の被害に遭いました。
幸い沿岸部ではなかったため、津波の被害には遭いませんでしたが、
住宅は全壊となってしまいました。
ある日、Nさんから依頼を請け、ご自宅へ調査に行きました。
まずは耐震改修・断熱改修して、住み続けることができるかを調べました。
基礎は鉄筋コンクリート製ではなく大谷石です。(当時は標準工法です)
また柱の傾き、壁もひび割れ・・・結果、全壊住宅という判定になりました。
そして新築の計画へ
先ずはご提案する低燃費住宅を知って頂く為に、以前建てさせて頂いている、
Tさん宅へNさんと訪問です。
Tさん宅は、外壁は塗り壁、窓は木製3枚ガラス、玄関も木製で、閉まると”ボン”と木の音がします。
内部も壁・天井と塗り壁、床は無垢の木です。
T邸を見たNさんも気に入っていただいたようで
「合板床やビニール壁紙とかコンクリート板の外壁がないから、いいねぇ!」
と言っていただきました。
低燃費住宅の設計がスタート
設計前に先ずはどこに建てるか?
という問題が発生。既存住宅を、解体して建て替えることが基本的な考えですが、
大震災から1年6ヶ月が経過した時期でも、仮住まいとして使用するアパートがないのです。
幸い敷地が広かったので、全壊住宅に住みながら敷地内に建設することになりました。
Nさんは若いころ大工に憧れており、近年主流のプレカット機会での機材加工ではなく、
大工さんに墨付けして建ててほしいとの願望がありました。
いわき市には、まだ墨付け、手刻みの大工さんが健在。
Nさんの要望通り、大工さんが丁寧に建築して頂けました。
奥様からも”冬暖かい家にしてほしい”という要望がありました。
これまで住んでいた家では、冬場は、布団を重ねても寒いので
電気毛布をかけてお休みになっていたそうです。
また、エアコンの風が苦手ということもあり、
暖房・冷房は輻射式のパネルヒーターを使用しました。
輻射熱で、柱や梁、床や壁の建材を温めたり冷やしたりするので、
空気がやわらかく感じられます。
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